ホームページの制作会社を変更したいと思ったとき、最初に解約の連絡をしてしまうのは危険です。解約を先に伝えてからデータや権限を頼むと、手続きが止まったり、公開中のサイトやメールに影響が出たりするおそれがあるからです。
この記事では、制作会社を変更するときの手順を、6つの段階に分けて解説します。ドメインやアカウントの名義の確かめ方、引き継ぐものの一覧、よくあるつまずきまでまとめました。
制作会社の変更で失敗しないための原則は、次の3つです。
①持ち物と名義を先に確かめる
②受け取ってから切り替える
③解約の連絡は最後にする
| 段階 | やること |
| 1. 棚卸し | 持ち物と持ち主を確かめる |
| 2. 契約の確認 | 解約の期限と条件を見る |
| 3. 計画 | 新しい依頼先と順番を決める |
| 4. 受け取り | 権限とデータを受け取る |
| 5. 切り替え | 新しいサイトへ移す |
| 6. 解約 | 動きを確かめてから伝える |
目次
ホームページは1つの契約に見えても、持ち物は8つに分かれています。契約は1つでも、持ち主はそれぞれ別のことがあります。
| 持ち物 | お店にたとえると |
| ドメイン | 住所と表札 |
| サーバー | 土地 |
| サイトのデータ | 建物と内装 |
| 計測(GA4・Search Console・タグマネージャー) | 来店カウンター |
| 地図(Googleビジネスプロフィール) | 地図アプリの店舗情報 |
| SNS | 店先の掲示板 |
| 広告 | 駅前の看板 |
| メール | 郵便受け |
住所を人の名義で借りていても、ふだんは困りません。困るのは引っ越すときです。
毎日ログインできていても、名義が制作会社なら、最後は相手の手続きが必要になることがあります。8つそれぞれについて、次の3つを確かめましょう。
制作会社名義だからといって、悪いわけではありません。手続きを代わりに引き受けてくれた結果のこともあります。大事なのは、今どの名義かを自社が知っていて、移す方法も分かっていることです。
棚卸しは、8つの持ち物を縦に並べた表を1枚作るだけで始められます。横には、名義、ログインできる人、連絡先のアドレス、次の更新日を並べます。空欄が残っても問題ありません。空欄がそのまま、確認する項目の一覧になります。
担当者も1人決めておきましょう。複数の制作会社や社員が関わると、誰も全体を把握していない状態になりやすいからです。社長か、総務の方が持つと、担当の異動があっても残ります。
棚卸しは、請求書と契約書、制作会社の連絡先があれば始められます。分からない所は「分からない」と書いて構いません。そこが次に聞く場所になります。
見るのは、登録者、管理している事業者、有効期限の3つです。「.jp」はJPRS WHOIS、それ以外はICANNの検索にドメイン名を入れると、登録者の欄などを調べられます。表示される項目はドメインの種類で変わります。
| 登録者の欄 | 次の一手 |
| 自社の名前 | 連絡先のアドレスが今も読めるか確かめ、有効期限を控える |
| 制作会社の名前 | 慌てず「自社名義に移せますか」と相談する。先に契約書も確かめる |
| 個人の名前 | 前の担当者に連絡する。取れなければ管理している事業者に相談する |
| 別の表示で見えない | 請求書や契約書から事業者をたどる |
サーバーは請求書から「誰が費用を払っているか」をたどり、契約者を確かめます。WordPressなどのCMSは、自社の担当者で入れるか、最高権限が自社にあるかを見ます。独自の仕組みは、別のサーバーへ移せないことがあるので注意してください。
GA4は「管理者」、Search Consoleは「所有者」、Googleビジネスプロフィールは「メインのオーナー」に、自社が入っているかを見ます。SNSや広告も、人ではなく権限で持っているかを確かめます。
見落としやすいのがメールです。パスワードの再設定も更新の案内もメールに届くので、メールは鍵の鍵といえます。辞めた人の個人メールで作ったアカウントがあれば、早めに会社の共有アドレスへ変えておきましょう。
権限は、できるだけ会社の共有アドレスで持つか、社内の2人以上に渡しておきます。担当者が1人だけだと、その人が辞めた日に誰も入れなくなることがあるからです。タグマネージャーも、管理者を2人以上にしておくと安心です。制作会社の権限は、解約の前にすぐ消す必要はありません。切り替えが終わるまでは残しておき、最後に整理します。
集める書類は、契約書、見積書や発注書、利用規約、保守の契約や覚書の4つです。書類がなければ、やり取りのメールも控えておきます。
料金を払ったからといって、権利が移るとは限りません。決めた範囲で使ってよい利用許諾なのか、著作権そのものを譲る形なのかで、できることが変わります。別の会社が文章やデザインに手を加えてよいかも確かめましょう。読み方に迷うときは、弁護士などの専門家にご確認ください。
書いていない項目は、今のうちに聞いて、回答をメールで残します。「解約したい」と切り出す必要はありません。次の聞き方なら、角が立ちにくいはずです。
「社内で、ホームページに関わる契約とアカウントの情報を整理しています。ドメインとサーバーの名義と管理している事業者、データと画像の権利の扱い、将来契約を見直す場合に受け取れるデータと手続きを教えていただけますでしょうか。」
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私たちが一番お伝えしたいのは、順番です。先に解約を伝えて後からデータを頼むのではなく、受け取って、切り替えて、確かめてから解約を伝えます。
引き継ぎには、急いでも縮まらない待ち時間があります。次の表は2026年11月に各社の案内で確かめた目安です。手続きの前に、最新の案内をご確認ください。
| 手続き | 時間の目安 |
| JPドメインの事業者変更 | 数日かかることがある(JPRS) |
| .com などの移管の制限 | 登録者情報の変更後、登録後、移管後の60日は制限がある(ICANN) |
| ビジネスプロフィールのオーナー追加後 | 約7日は譲渡や削除ができない(Google) |
| DNSの切り替え | 設定の秒数ぶん。86,400秒なら最大24時間(Google) |
| 旧URLからの転送 | 少なくとも1年は残す(Google) |
解約の申し出に期限がある契約なら、その日から逆算して計画に入れます。
| 段階 | 主に動く人 | 終わりの目印 |
| 1. 棚卸し | 自社 | 8つの持ち物の表が埋まった |
| 2. 契約の確認 | 自社 | 解約の期限と条件が分かった |
| 3. 計画 | 自社と新しい依頼先 | 切り替えの順番と日付が決まった |
| 4. 受け取り | 今の制作会社 | 権限とデータが自社の手元にある |
| 5. 切り替え | 新しい依頼先 | 表示、フォーム、メールが動いた |
| 6. 解約 | 自社 | 解約の連絡を出し、受領を確かめた |
今の制作会社に頼むことが多いのは、4の段階です。相手にも作業の時間が必要なので、余裕を持って頼みましょう。お世話になった相手なので、丁寧に伝えれば話が進みやすくなります。
受け取りたいものは、サイトのファイル一式、データベースの控え、写真とロゴの元データ、フォームの送信先の設定、有料サービスの契約名義です。WordPress標準のエクスポートだけでは、丸ごとの控えになりません。テーマやプラグインは含まれないためです。受け取れる範囲は契約で変わるので、早めに確かめましょう。
計測は、GA4の管理者とSearch Consoleの所有者に自社を入れます。地図は自社をオーナーに追加し、約7日後にメインのオーナーを譲ってもらいます。解約の直前では間に合わないことがあります。
権限やデータをお願いするときは、理由を長く書かなくて大丈夫です。次のように頼めば、用件は伝わります。
「ホームページの管理体制を社内で整理しております。つきましては、次の権限とデータの受け渡しをお願いできますでしょうか。必要な費用と手続きの期間があれば、合わせてお知らせください。」
受け取ったら、その場で中身を確かめます。ファイルを開けるか、写真が足りているか、ログインできるかを見ておきましょう。解約のあとで足りないと気づいても、頼みにくくなるからです。
「ドメインを移す」と「サイトを移す」は別の手続きです。ドメインは誰の住所か、DNSはどこへ案内するかの住所録、サーバーはサイトの置き場所です。
一般的な流れは次のとおりです。手順はJPRSの案内をもとにしています。.com などは細かい点が違うので、今の事業者に確認してください。
①ロックを解除
②認証コードを取る
③新しい事業者へ申し込む
④登録者が承認する
⑤完了
名義の変更は別の手続きです。JPドメインで登録者を変えるときの方法は、管理している事業者に確認します。
JPドメインの認証コードは、生成の翌日を1日目として35日後までが有効です。.com などは、依頼から5日以内に認証コードを受け取れるのが基本です。どちらも2026年11月に確かめた内容なので、手続きの前に最新の案内をご確認ください。
切り替えの順番は次のとおりです。
MXレコードの控え漏れがあると、メールが止まることがあります。ここは制作会社任せにせず、控えを一緒に確かめておくと安心です。
切り替える日も大切です。問い合わせが多い曜日や、キャンペーンの最中は避けましょう。トラブルがあったときに連絡がつくよう、平日の午前中など、関係者が動ける時間を選ぶと安心です。
会社のメールを今のサーバーで使っている場合は、特に注意が必要です。サイトとメールを同時に動かすのか、サイトだけを移してメールは残すのかで、手順が変わります。メールも移すなら、新しいサービスでアカウントを作り、過去のメールの扱いを決めてから切り替えます。SPFなど送信元を示す設定はTXTレコードに入っているので、控えから漏らさないようにしましょう。設定が抜けると、送ったメールが迷惑メールに入りやすくなることがあります。
古いURLの一覧を作り、新しいURLと1対1で対応表を作ります。サーバー側で301か308の恒久的な転送を設定し、関係のないページにまとめて送らないようにします。新しいサイトマップの送信と、公開を止める設定が残っていないかの確認も忘れずに。移転の直後は、順位が一時的に揺れることがあります。
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1週間ほどは、問い合わせの数とSearch Consoleのエラーを見ておきます。動きを確かめてから、はじめて解約の連絡を出します。解約の連絡は書面やメールで残し、相手が受け取ったことも確かめましょう。
解約の文面は、次のくらいで十分です。
「これまでホームページの運用でお世話になり、ありがとうございました。契約書の第◯条に基づき、◯月末で保守契約を解約したくご連絡しました。解約の手続きと、残っている作業の有無についてご案内いただけますでしょうか。」
| つまずき | 対処 |
| データは届いたが動かない | 動かすのに必要な環境も合わせて聞いておく |
| メールが止まった | MXレコードの控え漏れを疑う |
| フォームが届かない | 送信先の設定を確かめ、公開の日に必ず試す |
| 数字が途切れた | 新しいサイトに計測を入れ忘れていないか見る |
| 確認コードが前任者に届く | 受け取り先を会社のものへ変えておく |
| 解約の期限が先に来た | 申し出の期限を最初に確かめ、計画に入れる |
どれも、切り替えの前に分かっていれば防げるものです。今すぐ変更する予定がなくても、棚卸しだけは先にしておく価値があります。担当者が変わる日は、契約をやめるつもりがなくても来るからです。
棚卸しの表、受け取ったデータの一覧、解約の期限、変えたくない点の4つを渡します。最初に渡しておけば、見積もりと計画の精度が上がります。依頼先を選ぶときは、次に変更する場合の手続きも聞いておくと、同じ苦労を繰り返さずに済みます。
前の担当者や、制作を頼んだ知人の名前で登録されていることがあります。悪気がなくても、その人と連絡が取れなくなると手続きが大きく遅れます。連絡がつくうちに、会社名義への変更を進めておきましょう。JPドメインの一部のように、登録できる条件が決まっている種類もあります。連絡が取れないときは、管理している事業者に必要な書類を聞いてください。無理に新しいドメインへ変える前に、まず相談してみる価値があります。
有効期限にも注意してください。更新の案内が前の担当者にしか届いていないと、気づかないまま期限が切れることがあります。名義の話が進まなくても、更新日だけは先に確かめて社内の予定に入れておきましょう。
TERASUでは、ドメインや主要アカウントは原則としてお客様側で保有いただき、他社への移管にも対応します。
スタンダードプランと初期費用0円プランは最低契約期間が12ヶ月で、13ヶ月目以降はいつでもご解約いただけます。買い切りプランに最低契約期間はありません。プランごとの料金は料金ページでご確認いただけます。
ホームページを人質にして、契約を続けてもらうような形にはしません。サービスに価値を感じて、続けたいと思っていただくことを大切にしています。今の制作会社からの乗り換えも、無料でご相談いただけます。
Q. 制作会社を変更すると、今のホームページはどうなりますか?
A. 契約によって変わります。解約後の表示期間と受け取れるデータを、先に契約書で確かめてください。切り替えが終わるまで解約を伝えないのが基本です。
Q. ドメインが制作会社の名義でも変更できますか?
A. 多くの場合は相談から始められます。条件や費用は契約で変わるので、まず「自社名義に移せますか」と聞いてみましょう。迷うときは専門家にご確認ください。
Q. 制作会社と連絡が取れない場合はどうすればよいですか?
A. ドメインは管理している事業者に相談します。Googleビジネスプロフィールは、管理画面からアクセス権限をリクエストできる場合があります。
Q. 変更すると検索順位は下がりますか?
A. URLが変わる移転の直後は、順位が一時的に揺れることがあります。古いURLからの転送と、新しいサイトマップの送信を確実に行いましょう。
制作会社の変更は、8つの持ち物の名義を確かめるところから始まります。そのうえで、受け取って、切り替えて、確かめてから解約を伝える。順番さえ守れば、慌てる場面はかなり減らせます。
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