誰にも頼まれていないのに語りたい
私の推し工程
澪の社員には、それぞれ「この瞬間のために働いている」と言いたくなる工程があります。
鉄板が火で曲がる音、ブロックが空を横切る静けさ、機関室に初めて明かりがともる夜。
社員アンケートから、船ができる順番に12の推し工程を並べました。
澪の社員には、それぞれ「この瞬間のために働いている」と言いたくなる工程があります。
鉄板が火で曲がる音、ブロックが空を横切る静けさ、機関室に初めて明かりがともる夜。
社員アンケートから、船ができる順番に12の推し工程を並べました。
01 / DESIGN & CUT
線が、鉄に変わるところ。
02 / BLOCK & ERECTION
巨大なパズルを、ドックで組む。
03 / OUTFITTING & LAUNCH
鉄の箱が、船になる日。
04 / SEA TRIAL & REPAIR
海に出てからが、本番。
※登場する人物・場所・数値はサンプルです。
船首の外板は、平らな鋼板をガスバーナーで熱しては水で冷やし、少しずつ曲げてつくります。職人さんが木型を当てながら、何十回も火を入れていく。入社1年目、自分が設計した外板の木型を持って加工棟へ行くと、ちょうどその板が曲がっているところでした。図面の上ではただの線だったものが、火と水で形になっていく。あの日から、線を1本引くたびに加工棟の音を思い出します。
(船殻設計/2023年入社 岬 ことは)
鋼板を切るプラズマ切断機は、夜でも休まず動いています。夜勤明けの朝、薄暗い工場で青白い火花が一直線に走るのを見るのが好きです。切り終わった部材には番号が書かれ、翌週にはどこかのブロックの一部になる。何千枚もの部材が、迷子にならずに全部1隻の船に入っていく。そのことが、今でも少し不思議で気持ちいいんです。
(船殻工作部 切断課/2020年入社)
ブロックとブロックをつなぐ面が、計算より数ミリずれていました。原因がわからず、測量器を担いで組立場を3日間歩き回りました。最後にわかったのは、朝と昼の気温差で鋼板が伸び縮みしていたこと。それからは計測する時間を決めるようになりました。地味な仕事ですが、ずれの原因が見つかった瞬間の気持ちよさは、ほかでは味わえません。
(生産技術部 精度管理/2014年入社)
ドックをまたぐ門のような大型クレーンで、組み上がったブロックを吊り上げ、船台の上に載せていきます。家1軒より大きな鉄のかたまりが、ゆっくり空を横切っていく。無線で合図を出すのは搭載の担当者です。最後の数センチを合わせるときは、ドック全体が静かになります。ぴたりと収まった瞬間、下にいる全員が小さくうなずく。あの空気が好きです。
(汐見工場 搭載課/2015年入社)
入社してすぐは、溶接の良し悪しを仕上がりの見た目でしか判断できませんでした。3年目くらいから、パチパチという音のリズムで「今日はいい」「少し速い」とわかるようになりました。目をつぶっていても仕事の調子が聞こえる。そうなってから、組立場がずっと面白くなりました。
(船殻工作部 溶接/2020年入社)
毎朝7時半、ドックの朝礼場で、その日に載せるブロックと作業の順番を全員の前で読み上げます。最初は声が震えて、職長さんに「聞こえん」と言われました。今は、何百人もの人が自分の読み上げた順番で動き出すのがわかります。工程表どおりに一日が終わった夕方、空になった朝礼場を見ると、少し誇らしい気持ちになります。
(汐見工場 生産管理/2021年入社 早瀬 大地)
(第3ドック 機関室)
機関室に配電盤を据え付け、何百本ものケーブルを1本ずつつないでいきます。配属されて最初の船で、初めて受電する日に立ち会いました。スイッチが入り、真っ暗だった機関室に照明がともった瞬間、先輩たちから拍手が起きました。船が初めて自分で息をしたように見えて、この仕事を選んでよかったと思いました。
(艤装部 電気艤装/2024年入社 渡辺 湊)
進水の少し前に、船首と船尾へ船の名前の文字を取り付けます。1文字ずつ鋼板から切り出した字を、溶接で船体に固定していく。それまで番号で呼んでいた船が、その日から名前で呼ばれるようになります。足場の上から文字を見下ろすと、この船にも人と同じように一生があるんだなと思います。
(艤装部 船体艤装/2011年入社)
進水の前の晩は、最後の点検で照明が朝まで消えません。当日は社員の家族や船主さんがドックに集まり、支綱が切られると、船がゆっくり水に浮かびます。何度見ても、あの重さのものが静かに浮くのが信じられない。帰り道に家族へ「あれ、お母さんが関わった船」と言えるのが、ささやかな自慢です。
(品質保証部/2009年入社)
完成した船は、引き渡しの前に数日間、沖へ出て試運転をします。全速で走りながら舵をいっぱいに切ると、船体が大きく傾いて、机の上の書類が一斉に滑っていく。計測器の数字を追いながらも、自分たちがつくった船が海の上で本気を出している感じがして、毎回少し笑ってしまいます。
(試運転部/2016年入社)
修繕ドックには、世界中を走ってきた船が定期的に戻ってきます。担当した1隻は、澪で生まれて10年ぶりの里帰りでした。船底の塗装をはがすと、建造したときにチョークで書かれた番号がうっすら残っていた。船主さんと一緒にそれを見つけたとき、船にも思い出があるんだなと思いました。海外の船主さんと話す仕事ですが、最後に話題になるのはいつも船そのものです。
(修繕船営業部 海外担当/2019年入社 汐田 遥)
洋上風力の建設に使う作業船の、引き渡し後の点検に同乗しました。海の上に立つ風車を、真下から見上げたのは初めてでした。羽根が回る音は、思っていたよりずっと低くて大きい。自分たちの船がこういう現場で何年も働くのだと思うと、図面の見え方が変わりました。
(海洋事業部 作業船設計/2018年入社)